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猫はなぜあんなに高く跳べるの?猫の身体能力を専門家が徹底解説

2025/09/07

猫の行動を観察していると、ネコ科動物ならではのしなやかな動きに魅力されることはありませんか。

今回は、そんな猫の優れた身体能力の秘密を、哺乳動物学者の今泉忠明先生に教えていただきました。日常のなかで猫の身体能力を活かすポイントもお聞きしたので、あわせて参考にしてみてくださいね。

ネコ科の動物は身体能力が高い


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屋根裏に侵入するこはくくん
引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー

ネコ科動物の高い運動能力には、体の構造が大きく関係しています。たとえばイエネコの背骨の数は30個と人より多く、それによりしなやかな動きが可能に。背骨を弓のように丸めて一気に伸ばす動きが、高い跳躍力と瞬発力を生み出しているのです。

また、かかとや人でいう手のひらにあたる部位を浮かせ、つま先が地面に着く四肢の構造は速さの一助に。それだけでなく、筋肉のなかでも瞬発力に長けた「白い筋肉」と呼ばれる部分が多いことも作用し、人の最高走行速度が約36km/時なのに対し、イエネコは約48km/時も出すことが可能なのです。

それゆえ、高い場所へも何のその


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高くジャンプするコタくん
引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー

すべてのネコ科動物の足は、速さだけでなくジャンプにも特化しています。歩行・走行時はつま先だけが地面に着いている状態ですが、ジャンプのときは後ろ足のかかとに当たる部分まで地面に着き、足を折りたたんだ状態から足首、膝、股関節を一気に伸ばします。

関節をバネのように使うことと、先述した「白い筋肉」を掛け合わせた力で、助走をしなくても高いジャンプをすることができるのです。

それゆえ、歩くときは音を立てない


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カーテンレールの上を歩くあずきちゃん
引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー

ネコ科動物が獲物に忍び寄るとき、音を立てずに接近することができます。これは爪が付いている指先の小さな骨が普段は内側に折りたたまれていて、爪が収納されているから。

爪を出すときは関節を曲げる筋肉を収縮させ、指先の骨から人でいう手のひらの部分や足の裏側を通る腱を引っ張っています。また肉球がクッションとなり、足音を忍ばせることにも一役買っています。

猫の「身体能力」をふだんの暮らしに活かすなら


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じゃらしに夢中なスコティッシュフォールド
引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー

高い運動能力は、遊びで存分に発揮させてあげると喜ぶでしょう。じゃらしおもちゃは、高く素早く動かすことが満足度を高めるポイント。身体能力の高さゆえ、遊びのつもりで突然人に飛びかかることもあります。そのときは声を出さずに離れると、再び狙ってくることは減るでしょう。

羨ましいほどに高い猫の身体能力。家の中でもしっかりと体を動かせるよう、環境を整えてあげてくださいね。

お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 日本動物科学研究所所長)
参考/「ねこのきもち」2025年8月号『愛猫とネコ科動物、じつは共通点ばかり。猫の「狩猟本能」に迫る。』
文/柏田ゆき
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。