人との暮らしのなかで覚えた行動だった!? 猫が2本足で立つ理由
2025/10/17
愛猫が2本の後ろ足だけで体を支えて立つことはありませんか? 猫らしからぬこの行動は、どのような状況や心理のときにすることが多いのでしょうか。今回は、猫が2本足で立つ理由などについて、哺乳動物学者の今泉忠明先生に伺いました。
猫が2本足で立つ理由1:遠くの様子を見るため

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー
本来、高所を好む猫は遠くを見やすい環境で暮らします。ところが、室内で暮らす猫にとってそうした場所が少なく、遠くを見ようと自然と立つことが増える傾向に。
とくに、外の様子を確認しようと、窓に寄りかかりながら立っちゃう猫は多いです。なかには、猫タワーの上から観察する猫もいます。また、安全確認のため、音のする方向を確かめようと立つ猫もいるようです。
猫が2本足で立つ理由2:前足を自由に使うため

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫の前足は後ろ足よりも指が1本多く、より器用に使いこなせるという特徴があります。それゆえ、ものをつかむ、引き寄せるなどの細かい行動が可能なのですが、それらは上半身を浮かせたほうが繰り出しやすいことも。おもちゃを捕まえる、ドアを開けるなどのシーンで、飼い猫の立つ様子が多く見られるのはそのためです。
外で暮らす猫の場合は、勢いをつけて前足で獲物にアタックをするために、後ろ足だけで体を支えることもあります。
猫が2本足で立つ理由3:おねだりしたい・甘えたい

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫は人との暮らしのなかで自然と立つことを覚えていきますが、じつは飼い主さんの反応も影響しています。
人は猫が2本足で立つと、人の赤ちゃんが立ったときと似た感情を抱いて、つい喜びがち。そのあと、おやつを与えたり、なでたりすると猫はその反応やごほうびを学習し、おねだりしたいときや甘えたいときに積極的に立つようになるのです。
猫が2本足で立つ理由4:体勢が安定しやすいから

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫の立つ姿のなかでも、腰を落として休憩しているような状態になるときがあります。これは低重心で安定した体勢がとりやすいためで、たとえば、マンチカンやスコティッシュフォールドなど、コンパクトな体で足が短い、または中型で骨太な体型の猫に見られます。
猫の立つ姿にまつわる疑問

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー
Q.猫は立つのが得意なの?
A.本来は得意ではない
多くのネコ科動物は木の上など高所を好むため、見下ろすことはあっても2本足で立って目線を高くして何かを確認する必要はありません。また、より速く走るために四足歩行で進化してきた体は、2本足で立つこと自体が得意というわけでもないのです。
しかし、人と暮らすなかで立ったほうがいいシーンが出てきたことにより、自然と人は猫が立つ姿を目にすることが増えていったのでしょう。
Q.後ろ足だけで立つのはつらくない?
A.足の構造的にはつらくないよう
猫は胴体に比べてじつは足が長く、2本足で立つしぐさがよく見られる動物たちのように、2本足で立った状態で全身を支えるのは難しい傾向にあります。しかし、ジャンプや瞬間速度を出すために後ろ足の筋肉は発達しており、この姿勢をつらいと感じることは少ないでしょう。
逆に、「今までしていたのに急に2本足で立つのを見なくなった」という場合は、足に異常がある場合もあるので要注意です。
Q.立つ猫と立たない猫の違いは?
A.好奇心旺盛な性格の猫ほど立ちやすい
猫が後ろ足で立つときは、何かに期待しているときや興奮しているときなど、気が高ぶっているときが大半。そのため、好奇心旺盛な性格であればあるほど立ちやすいでしょう。また、足腰の筋肉が発達している成猫に多く見られるとも考えられます。
人と暮らすうちに、自然と2本足で立つことを覚えた猫。愛猫はどのような状況のときに立つことが多いのか、観察してみるのも楽しいかもしれませんね。
お話を伺った先生:今泉忠明先生(哺乳動物学者 日本動物科学研究所院長)
参考/「ねこのきもち」2025年年9月号『らしからぬ、2本足の姿に、じつはワケあり。スクッと立っちゃう猫』
文/宮下早希
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。