運動不足にはリスクがたくさん! 猫の運動量を効率的に増やすコツを獣医師に聞いた!
2025/12/05
猫が運動不足になると、病気や不調につながるおそれがあるため、飼い主さんが意識して運動の機会を与えてあげることが大切です。
そこで今回は、猫の運動不足がもたらすリスクと、猫の運動量を効率よく増やす方法について、獣医師の藤井仁美先生に教えていただきました。
猫の運動不足がもたらすリスクとは

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー
運動不足の状態が続くことでとくに心配なのが、肥満になることです。
肥満は糖尿病や心臓病、関節炎などの病気を引き起こす原因になるほか、太って動くのが面倒になると、なおさら運動をしなくなるという悪循環に陥りやすくなります。愛猫が「肥満」と診断されたら、獣医師の指導のもと食事や運動習慣の見直しが必要です。
ストレスで問題行動を起こすことも
本来、猫にとって「運動すること」≒「獲物をとること」。そのため、十分に運動ができていないと、狩猟本能が満たされず、ストレスを感じてしまうことも。
急に走り回る、イタズラをする、攻撃的になるといった行動が見られたら、ストレスを抱えている可能性があるので、いつもより運動量を増やすなどして改善を図りましょう。
効率よく運動を取り入れるなら「食事のタイミング」がおすすめ

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー
生活のなかに効率よく運動を取り入れるなら、食事のタイミングが効果的。「食べ物にありつきたい」というモチベーションから、体を動かそうとする可能性が高くなるので、自然と運動させることができるでしょう。
器を高めの場所に置いて上らせる
ふだん床に置いているフードの器を、台やイスなどの少し高い場所に置くことで、食事のたびに上下運動をさせられます。ただし、シニア猫や肥満の猫などは、段差が大きいと体に負担がかかるほか、諦めてしまいやすいので、簡単に上れる高さの場所に置くようにしましょう。
フードを投げて走らせる
猫の目の前で、ドライフードを遠くへ向けて放り投げ、追いかけさせます。走って捕まえたものを食べる体験が「狩りに成功した」という満足感につながり、食べるついでに運動する習慣がつきやすいでしょう。
フードを点々と置き歩かせる
シニア猫や肥満の猫などは、フードを遠くに投げても食べに行こうとしない可能性も。その場合は、床に間隔をあけてフードを置き、歩かせるのも一案です。体への負担が心配な猫でも、無理なく運動させられます。
フードを入れる知育おもちゃを置く
頭や体を使わないとフードを食べられない知育おもちゃは、猫の狩猟本能を刺激します。フードを求めて体を動かすので、自然と運動になるでしょう。はじめは飼い主さんが手伝ったり、簡単にフードが出てくるものにしたりして、難易度を上げすぎないのがポイントです。
運動量を増やすなら生活環境を工夫することも大切

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー
飼い猫は外猫と比べて、行動範囲がどうしても狭くなります。だからこそ、工夫して猫が存分に運動できる場所や機会をつくることが重要です。飼い主さんがいないときでも、猫が体を動かしたいと思ったときに、自由に動ける環境を整えましょう。
家具を活用して上下運動できる場所をつくる
野生時代、自分の身を守るために高い木の上などを好んでいた猫。室内でも棚やイス、出窓などの位置関係を工夫して、猫が高いところにアクセスしやすいよう環境をつくりましょう。上りたいと思ったときにいつでも上れる状況にすることで、上下運動を促します。
直線に走れるスペースを確保する
走ることも、上下運動とともに大切な運動のひとつ。できる範囲で自由に走り回れる環境を整えてみましょう。たとえば、廊下などを猫が走れる場所として開放するのも手。床が滑りやすくケガの危険がある場所には、マットやカーペットを敷くといった配慮も忘れずに。
無理に運動の時間を増やすより、“さりげない工夫”で運動量を増やすほうが、効率的で猫ものってくれやすいです。愛猫と飼い主さんの生活スタイルに合った方法を、試してみてはいかがでしょうか。
お話を伺った先生/藤井仁美先生(獣医師 獣医行動診療科認定医 ペット行動カウンセラー 自由が丘動物医療センター勤務)
参考/「ねこのきもち」2025年11月号『しれっと効率的に がポイント すぐできる 飼い猫の運動量は、こうやって増やそう!』
文/長谷部サチ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。