
ある日突然、「あなたは○○に当選しました!」というメールが届き、内容を読んでいくと確認のために記載されているURLから専用サイトへアクセスしてほしい旨が記載されています。
落ち着いて調べてみれば、よくある詐欺の手口であるとすぐにわかるでしょう。
クレジットカード会社やネットショッピングサイトを装った詐欺メールは見慣れているつもりでも、賞品がもらえるという誘い文句で詐欺に遭ってしまう人も少なくはありません。
今回は懸賞を装った様々な詐欺の手口や、怪しいと思ったときに確認すべきポイントなどを紹介していきます。

自分はただ懸賞に応募しただけと思っていたのに、気がついたら詐欺に遭っていたという事案が増えています。
詐欺の手口は年々巧妙になっており、その中には懸賞に着目した詐欺もいくつか存在します。
まずは代表的な手口を紹介していきます。
懸賞に関わる詐欺で一番多いのが、実在しない懸賞の当選通知が届くというパターンです。
自分で覚えがなくても、普段から懸賞に応募している人であれば応募してもなかなか当選しないことを知っています。
そのため、つい嬉しくなって油断してしまうというケースや、誰かと間違えて当選通知が来たと思い込み、出来心でそのまま受け取ろうとしてしまうケースが多いようです。
この手口の場合、もちろん実際に賞品は送られてきません。
しかし、賞品を送るために必要という理由で様々な要求をされるという手口です。
偽物の当選通知にはURLやQRコードが記載されており、賞品を受け取る手続きのための指定のサイトにアクセスする旨が記載されているというパターンがあります。
このリンク先はパソコンやスマートフォンのデータを抜き取ったり、不正なファイルをダウンロードさせるものである場合もあります。
リンク先自体に問題がなくとも、そこで賞品受け取りのために個人情報を記入させることで、情報を盗み取るという目的があります。
手口の中には、「賞品を送るためには送料を先に納めてもらう必要がある」と要求されるパターンもあります。
大型の家電等の場合は送料も高額にはなるものの、賞品自体の方が遥かに高額であれば「それくらいは仕方ないか」と思ってしまう場合があります。
繰り返しますが、実際賞品は届きません。
あくまで「送料」という名前で信ぴょう性を持たせつつ、お金を騙し取るという手口です。
大体の場合は、振込先などで足がつかないようにWebマネーなどの電子マネーで指定された金額を要求されます。
このパターンは比較的少ないのですが、当選はしたものの「ダブルチャンスがあるので挑戦してみませんか?」という手口です。
「賞品がより豪華になる可能性がある代わりに、ダブルチャンス応募には費用がかかる。」「また、もしはずれても元の商品はちゃんと届ける。」という文言で誘うという方法です。
そもそも覚えがなく、当選で丸々得している状態なので、少し費用がかかっても更に大きな当選になるなら構わないと考えて応じてしまう人が少なくありません。
冷静に考えれば違和感を感じる手口なのですが、当選通知には1つ目の賞品の発送予定日などが書かれており、ちゃんと送られてくると思い込ませて油断を誘います。
前項で紹介した、当選通知が突然届くのと同じように、まったく覚えのない賞品が直接送られてくるというパターンもあります。
実際に当選したという当選通知と一緒に賞品が送られてくるため、詐欺ではないと思い込んでしまうのがこの手口のポイントです。
実際は二束三文の賞品を送りつけて、その賞品と送料以上の対価を受け取るという詐欺です。
一番多いのは突然送り付けておきながら、送るための送料を要求するという手口です。
送られた側からすると賞品を受け取ってしまった手前、支払いをしなければならないと思い込んでしまいます。
実際は数百円程度の送料なのに、梱包と発送を合わせて数千円を要求してくるようなケースもあります。
詐欺と知らずに開封してしまっていても、詐欺だと思った時点で警察や消費者センターに相談して解決できる場合もありますので、まずは相談してみましょう。
送料や梱包代ではなく、「手数料」という形で振込を要求される場合もあります。
先ほどの手数料や梱包代と併せて、それらを含めた総合手数料という形で同じように数千円を要求されるケースです。
どちらのパターンもどこにでもありそうな会社名の口座を振り込み先として指定されており、当選通知に加えて賞品も受け取っているので、支払わなければならないと思い込んでしまう人が少なくありません。
これはSNSやeメールを使った詐欺の手口です。
eメールを使ったチェーンメールという迷惑メールの手口を知っている人であれば想像がしやすいでしょう。
該当のメッセージ(メール)が知り合いの名前で自分に送られてきて、内容は絶対に当たる懸賞だから挑戦して欲しいというものです。
記載されているリンクから実際に挑戦してみると簡単なゲームを行い、クリアすると賞品を獲得した旨が表示されるというものです。
賞品を発送するためには、知り合い数人に同じ内容のメッセージを送ることと、指定先に連絡をすることが条件とされています。
実際には誰でも勝てるようになっているゲームであり、知り合いに紹介などしなくても賞品発送の手続きに移行できるものがほとんどです。
しかし、これは指定の連絡先にアクセスさせることによって利益を得るという手口です。
このパターンの詐欺では、当選が決まり、知り合いにメッセージを送った後に特定の連絡先に電話でアクセスするよう求められます。
この連絡先は実は国際電話になっており、高額な通話料が発生するようになっています。
詐欺グループは国際電話を利用させることで利益が得られるような仕組みを利用して、間接的に金銭を得るのが目的です。
電話の内容としては、自動音声からの簡単な問題にダイヤルで回答するのをひたすら繰り返すという内容です。
ほとんどの人は違和感を覚えて通話を切るのですが、この時にはもう通話料が発生しています。
後日高額の通話料が請求され、もちろん賞品が届くということはありません。
こちらも国際電話を使った手口と同じですが、目的が個人情報というところが違う手口です。
同じように条件を満たすと、賞品を発送する手続きをするために様々な個人情報の入力を求められます。
しかし、この手口では住所や電話番号以外にクレジットカードの番号や銀行口座番号などを要求してくるケースもあります。
当選し、賞品を発送するために必要といわれてなんとなく入力してしまう人も居ますが、もちろんこれも詐欺の手口です。
ここまで紹介したものの中には、公式の画像や公式の企業ロゴを使用して本物の懸賞と誤認させるという手口もあります。
中には企業が送ってくるメールや公式サイトの偽物を作って誘導するケースもあり、一見すると本物に見えてしまうため、被害に遭う人は少なくありません。
この場合は、さも有名企業が懸賞を行っているように装い、応募者に個人情報や会員IDなどを入力させるという詐欺です。
企業の懸賞なので、その企業の会員IDやパスワードを聞かれても不思議に思わず入力してしまうという落とし穴があります。
SNSやインターネットの懸賞に多いため、その企業の公式サイトで告知されているキャンペーンかどうかを調べてみれば回避できる可能性もあるでしょう。

ここまで様々な懸賞詐欺の手口を紹介してきましたが、賞品発送に不要な情報などを要求されたらまず詐欺を警戒しましょう。
懸賞に当選した場合、賞品を発送するのに住所・氏名やもしもの時のために電話番号の記載を要求されるのは当然ともいえます。
しかし、以下のようなものを要求された場合は警戒しましょう。
冷静に考えれば、クレジットカードや銀行口座が必要な要素はありません。
それ以外のアカウント情報なども他人に教えていいものではありません。
有名な企業の公式キャンペーンを装った手口の場合、騙されてしまう可能性もありますが、違和感を感じたら企業公式ページで実在する懸賞かどうかを確認するのも一つの手です。
怪しいと思ったら一旦確認するのはどのような場合でも効果的です。
個人情報の入力は、場合によっては本当に必要なケースもあるため、一概に言えませんが、金銭を要求されるものはすぐに警戒しましょう。
懸賞において送料は当選者負担、発送には手数料がかかるというケースはまずありません。
賞品発送までが懸賞主が本来行うことであり、それらを要求してくる場合も同様に警戒しましょう。
送料負担などが必要な場合は懸賞の応募要項に記載されている可能性もあるので、応募要項を読みなおすのも効果的です。
応募要項が見つからないような懸賞であればやはり詐欺の可能性があります。
中には指定のサイトで個人情報の入力を要求されるケースもあります。
しかし、これに関してはグレーなラインで、詐欺ではない場合もあるため一概には言えません。
実際、応募の条件として、会員登録をするという懸賞自体は少なくありません。
先ほど解説したように、クレジットカード情報などの懸賞に不要な情報を要求してくる場合は応募自体を避けた方が無難でしょう。

自分がもし今回紹介したような詐欺に遭ってしまったと思った場合、素早い対応が被害を最小限にするためのポイントになります。
詐欺に逢ってしまったとは言いづらいという人もいると思いますが、被害を抑えるために具体的な内容を相談しましょう。
まずは警察に連絡しましょう。
緊急性がある場合は「110」への電話で構いませんが、詐欺の可能性があるかもしれないと感じた場合などは「#9110」の相談窓口へ連絡するのが良いでしょう。
また各都道府県が、サイバー犯罪窓口として専用の部署を設けています。
該当の相談窓口に連絡した方が、懸賞詐欺などの手口に関しても精通している担当者が対応してくれる可能性が高いといえます。
本当に詐欺だとしたらこれからどうすべきか、などの相談が可能です。
正確には消費生活センターですが、各地域ごとに消費者センターと呼ばれる施設があります。
電話番号は「188」です。
この番号に電話をすると、自宅最寄りの消費者センターに電話が自動で繋がります。
警察に相談する場合と同じように、もし詐欺に遭っていた場合どうすれば良いのかなどの相談に乗ってもらえます。
警察と違う点としては、詐欺まがいの商売を行っている業者とトラブルになっている場合に、仲裁など具体的な手続きを行うサポートを行っているところです。
懸賞詐欺の場合は該当しないケースが多いと思いますが、警察の相談窓口と違い、土日祝も対応している所が多いため、連絡をしやすいのがメリットです。
詐欺に遭い、クレジットカード情報などを入力してしまった場合は、速やかにカード会社に電話をしましょう。
各カード会社は、不正引き出しや不正利用の相談先を用意しています。
カード情報が漏れてしまっていても、利用される前であればカード自体を停止することも可能です。
不正利用に関しての保障などもカード会社によって異なるため、電話の際には保証や保険についても確認しておくと良いでしょう。
今回は懸賞を装った様々な詐欺の手口や、警戒すべきポイントなどについて詳しく解説しました。
「自分は詐欺に引っかからない」と思っている人が遭ってしまうというケースは決して少なくありません。
賞品を送るのに必要ないと思われる情報登録を要求されたり、後で豪華な賞品がもらえるという理由で先に金銭を要求するような手口は警戒しましょう。
詐欺に遭ってしまったかもと思ったら、恥ずかしがらず、すぐに連絡することで被害を最小限に抑えられる可能性もあります。
この記事にあるような手口かもしれないと感じたら、まずは警察や消費者センターに相談をしてみましょう。